この生活に名前は付くのか

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2021年2月28日

岡田了さんと野本直輝さんが共同で企画しているイベント『binomial』の2回目が1月24日に行われるはずだったけれど、緊急事態宣言と時短要請のため会場の下北沢SPREADが休業せざるを得なくなり、従ってイベントも延期になってしまった。

しかし、休業に伴い、SPREADが去年やっていた期間限定定額見放題配信サービス 「VIDEO SERVICE "AMUSEMENT"」が復活。その中でbinomialの特番……というかbinomial 2に出演予定だったアーティストによる無観客収録ライブ『binomial extra』が放送されたので、観た。(※アーカイブ公開は2021/3/31まで)

 

出演は、主催の岡田さん野本さん、浅野達彦さん、西山伸基さん、DJで坂田律子さん。全員ソロ、(DJ以外)全員インスト。そして照明は佐藤円さん。

どうやらこのイベントには主催者から演奏するという縛りのようなものがあるらしく、前回は野本さんスタートで2番手が岡田さんだった。今回は逆で、最初が岡田さんで次が野本さん。なお、DJ坂田さんは各出演者の間に挟まる方式ではなく、最後にまとめてたっぷりと。

 

まず岡田さん。部屋(おそらくSPREADの中)の角の部分を背にセッティングしていて、台(という名のギターのハードケース)に斜め40度くらいで乗っているテープエコーに垂直になる形でカメラが1台あり、全体的になんとなく珍しい感じの映り。照明がすごく綺麗で、エフェクター類を操作する手はバッチリ見えるのに表情は窺い知れないという絶妙さが見事だった。

今回は和音が美しかった。10分過ぎくらいからが特に。カノン進行を彷彿とさせるような崇高さ(※実際にカノン進行で弾いていらしたわけではない)。目を閉じて聴き入りたいのに映像も観たいという矛盾を抱えているうちに約30分の演奏が終了。見放題配信なのでアーカイブで補完した。本当に稀有……どころか他には居ようのない、オリジナルなギタリストだと思う。

(追記:岡田さんのソロ音源の『outerzone』に収録されている『nice talking with djinn』の客演サックスなしソロエクステンデッドバージョンもしくは亜種のようなものだったのではないかと後から気付いたけれど気のせいかもしれない)

野本さん。岡田さんと同じ角のところにセッティング。からの、ライブコーディング。プログラマーさんがコーディングするのと同じ感じで、そういう言語でリアルタイムでコーディングして音を鳴らしている(事実をそのまま書いているけれどたぶん伝わらないのでこの動画参照)。音はノイジーで角が丸くて心地良く、背後に映るコーディングの画面が大変ロマンティック。その中でスッと立っていらっしゃる野本さんが大変クールだった。ロマンの塊。また生で観たい。

浅野達彦さん。何らかの生きものを表しているかのような、ブルージーな雰囲気のめくるめくギターソロ。全体的に、毛細血管が随所に走っているような音だった。岡田さんと同じ、ギター1本+エフェクター類という編成なのに、弾く人によってこんなに違うものなのか……という気付きを改めて得られた。(そもそもbinomial自体がそういうイベントなのかもしれない)

西山伸基さん。鳴らした音が少しづつズレてヨレて消えて浮かんで変化する、それを楽しむ音楽。最初に鳴ったマイナーコード(に私には聴こえる)が延々伸びていく感覚。恐ろしいほどの没入感。入眠BGMに使いたいくらい。音源買おうかしら……。

DJ坂田律子さん。坂田さんは色々な形態で音楽活動をされているけれど、今日はDJ。緊張感あるアクトが4組続いて肩に力が入りガチガチになっているのをほぐすような、南国感のあるゴキゲンなプレイ。流しているだけで楽しくなる。

ちなみに野本さんと坂田さんは「fuelphonic」というバイクの音を全力でフィーチャーしたユニットをやっていて、野本さんと岡田さんは「TCS」のレギュラーメンバー。色々なところで繋がっている、でもソロもやる、そんな感じ。

 

とても良い配信だった。上質なイベントを美しい照明と映像で捉え、期間限定とはいえお茶の間やスマホやタブレットでも観られる状況になっているのは素晴らしいこと。でも本当は生で観たかったというのが本音……なのでいつかのリベンジ(延期開催)成功を願っている。SPREADにも行ってみたいし。